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人手不足で増えている「自己都合退職トラブル」

帝国データバンク福岡支店が9月5日に発表した「人手不足に対する九州企業の動向調査(2018年7月調査)」によると、働き方改革に「取り組んでいる」企業の割合は38.9%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(27.1%)を含めた『意向あり』企業は66.1%にのぼりました。「取り組んでいる」・『意向あり』企業の割合は、ともに全国10ブロックの最高で、九州企業は「働き方改革」に高い関心を持っているようです。同じく、正社員が「不足している」と回答した企業の割合も54.9%と全国10ブロックで最も割合が高くなるなど、人手不足と改革への取り組みは大きく関係しているようです。(http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/s180903_80.html
かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、、この人手不足時代に急増しているのが「自己都合退職トラブル」です。従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、そもそも「辞めたい」と思わせない会社づくりも大切です。つまり、顧客満足度ならぬ従業員満足度が高い会社づくりです。人手不足倒産が増える中、企業が成長し続けていくためには、働き易い職場づくり(改革)は必要条件のようです。
(毎月顧問先向けに発行している事務所通信第104号からの抜粋記事。)

◆自己都合退職トラブルとは

退職の意思を会社に伝えようとする従業員に対し、会社が退職を認めないという「自己都合退職トラブル」が増加しています。「上司が面談に応じない」「退職届を受理しない」「離職票さえ渡さない」「有給休暇を取得させない」「辞めた場合は損害賠償請求すると脅迫する」などがその代表例です。

◆解雇トラブルの相談件数と逆転

昨年度、都道府県労働局および労働基準監督署に寄せられた民事上の個別労働紛争相談のうち、「自己都合退職」は2番目に多い38,954件でした。この件数は直近10年間で増え続けており、平成27年度を境に「解雇」を上回っています(厚生労働省「平成29年度個別労働紛争解決制度の施行状況」)。
かつての不況下においては解雇トラブルがよくみられましたが、人手不足のいまは自己都合退職トラブルが多い時代です。この傾向はしばらく続くでしょう。

◆民法上は2週間で退職できる

労働者は法律上、期間の定めのない雇用の場合、いつでも雇用の解約の申入れをすることができます。また、会社の承認がなくても、原則として解約の申入れの日から2週間を経過したとき、雇用契約は終了します(民法627条1項)。
就業規則の「退職」の項目においては、業務の引継ぎ等の必要性から、「退職希望日の少なくとも1カ月前に退職届を提出」等と規定することも多いですが、この規定のみを理由に退職を認めないということはできません。

◆従業員の退職でもめないために

一度退職を決意しその意思を表明している従業員に対し、慰留・引き留めを行ったところでさほど効果はないものですし、度を過ぎれば前述のような法的案件にもなりかねません。くれぐれも感情的な対応はせず、淡々と引継ぎや退職手続をさせましょう。
最近では、「退職代行ビジネス」とわれる、民間企業が本人に代わって退職手続を行うサービスを利用して、会社との自己都合退職トラブルを防ぐ退職者も増えています。この場合、本人と面と向かうことなく、会話もないまま退職が完了してしまいます。
従業員が自己都合退職に至る動機はさまざまですが、そもそも「辞めたい」と思わせない会社づくりも大切です。

(平成30年11月7日時点)